E27 · A
宇宙組曲 1987
空を仰いでいるあなたへ
これは1987年の手紙です。ソ連北部、プレセツク一帯の宇宙施設のそばから届きました。冷たい空は青緑と銀の色で、足もとの雪が鳴る音まで聞こえそうです。封筒は紺色で、軌道の幾何学を思わせるのびやかな英字の大文字の題字。淡い青緑の任務図は几帳面に描かれているのに、そのわきで、ワインレッドのサーカスの輪が、小さな曲芸師をのせて、ちょうど軌道の上を歩いています。クリーム色の計器伝票も、金色の惑星の切手も紙に刷られたもので、インクが冷たい光のなかでかすかに光っています。
ある詩人も、夜ひとり道を歩きながら、同じ景色を見ていました。「夜は静まり、荒野は神に耳を澄ませ、星は星に語りかける。」——ミハイル・レールモントフ『ひとり道に出てゆく』(1841年)
宇宙は広く、組曲は長いので、あなたには小さな一節だけを残しておきます。静かで、どこからでも聴きはじめられる一節です。ようこそ。ゆっくり読んで、ゆっくり書いてください。雨が拍子を数えます。
星あかりを証人に
暴雨郵便局
1987年・プレセツク