E32 · C
旅するサロン
お招きしたお客さまへ
ご招待です。サロンに決まった住所はありません。今日はカフェの片隅、明日は列車の食堂車、あさっては展覧会の招待状の裏。
この手紙は1935年から36年のパリから届きました。くすんだバラ色のリネンの封筒に、フランスの雑誌のような強弱の効いたイタリックの題字。青とセージグリーンのキュビスム風の断片がカフェの街を組み立て、繊細な宝飾チェーンの線刻、クリーム色の画廊の招待状の帯、あたたかな金色の切手。
ある詩人は、サロン展を論じてこう書きました。「想像力は真実の女王であり、可能性は真実の領地のひとつである。」——シャルル・ボードレール『一八五九年のサロン』(1859年)
つまり、お客さまはひとりずつ、真実の領地をひとつ持ってきてくださるのです。あなたもどうぞ、その領地をたずさえて。手紙のなかに椅子を並べ、ゆっくり語りましょう。雨の日も開いています。
次のサロンは、あなたのところで
暴雨郵便局
1935〜36年・パリ