E15 · A
ウルル、位置について
スタートラインに立ったあなたへ
暴雨郵便局へようこそ。この手紙は1991年1月のオーストラリアから届きました。南半球の盛夏、赤い大地は熱く焼け、空はひとかけらの濁りもなく青い。封筒は赤茶色の丈夫な紙で、躍動感のある斜体の大きな題字にクリーム色のインライン影が走り、空色のトラックの曲線が黄土色の巨岩のシルエットをめぐり、ミシン目の入ったゼッケンの札と、オリーブ色の競技場ラベルがいくつか並んでいます。
オーストラリアで半生を馬上に過ごしたある詩人は、こんな数行を残しました。「人生はおおかた泡とあぶく。石のように動かぬものが二つある。他人が苦しむときの優しさと、自分が苦しむときの勇気。」——アダム・リンジー・ゴードン『疲れた旅人』(1867年)
スタートラインでもこの二つが何より大切で、スタートに号令はいりません。空をひと目見れば足ります。私たちの手紙もすでに位置についています。ゆっくり走って、勝たなくてもいいのです。書きたくなったら、ゼッケンに名前を書いて、私たちに渡してください。
位置について、よーい、ドン
暴雨郵便局
1991年1月・オーストラリア