E20 · C
街は停まらない
エンジンを切らない街の人へ
この街は、なかなか駐車しません。バイクは縁石でアイドリングを続け、バスは坂の途中で息をつき、角の喫茶店のカップはいつも洗いかけ。
この手紙は、1990年9月ごろのサンフランシスコから届きました。くすんだラベンダーグレーのクラフト紙の封筒に、ライブ告知ポスターのような、幅の狭い荒々しい黒の大文字。破れた楽譜の端、オリーブ色の街区地図、斜めに貼られた珊瑚色のバイク集会のタグ、シルクスクリーンのタイヤ跡、小さな喫茶店の紋章。
誰のリズムに合わせる必要もありません。小屋暮らしのある作家は、こう書いています。「人が仲間と歩調を合わせないのは、きっと別の鼓手の音を聞いているからだ。その人には、自分に聞こえる音楽に合わせて歩かせてやればいい。それがどれほど落ち着いた調べでも、どれほど遠くからの響きでも。」——ヘンリー・デイヴィッド・ソロー『ウォールデン』(1854年)
ようこそ。ここでは自分のリズムで手紙を書いていいのです。走り書きでも、切り貼りでも、同じ一行を三度写しても。手紙は急かしません。雨も急かしません。
縁石でまた会いましょう
暴雨郵便局
1990年9月ごろ・サンフランシスコ