M01 · A
金色のひととき
回転ドアを押して入ってきたあなたへ
暴雨郵便局へようこそ。この手紙は1929年のニューヨークから届きました。黒みがかった青緑の紙の隅には、架空の植物の切手が一枚。ウォール街では銅色の灯りの下、ティッカーテープが休みなく数字を吐き出し、摩天楼は扇を広げるように段々と空へ伸びています。誰もが、明日はもっと明るいと信じていました。
この街を描いたある小説は、こう結ばれています。「こうして私たちは流れに逆らう舟のように漕ぎ進む。絶えず過去へと押し戻されながら。」——F・スコット・フィッツジェラルド『グレート・ギャツビー』(1925年)
この一行を、封筒に折りたたんでおきました。ここでは手紙がゆっくり進みます。一度振り返るには十分なほど、ゆっくりと。書きたくなったら、一通どうぞ。雨が預かっておきます。
雨の夜が穏やかでありますように
暴雨郵便局
1929年・ニューヨーク