E18 · B
町は覚えている
教室を思い出したあなたへ
暴雨郵便局へようこそ。1996年、北の鉱山町から。やわらかなクリーム色の再生紙に、丸く連なる手書きの英字の題字がやさしく書かれています。スレートブルーのハーフトーンは集合写真の影のようで、顔はどれもはっきり読み取れません。下にはオリーブ色のノートの罫線、錆びた赤の石炭列車の切手、縁には鉛筆で描かれた雪の縁取りが巡っています。
トルストイは『幼年時代』のなかで、こう書きました。「幸せな、幸せな、二度と戻らない子ども時代よ。どうしてその思い出を愛さず、大切にしないでいられようか。」——レフ・トルストイ『幼年時代』(1852年)
町も人と同じように、物事を覚えているものです。どの窓辺に霜で割れた植木鉢があったか、どの黒板がいちばんきれいに消されていたか、集合写真の最後列に誰が立っていたか……私たちが、あなたのかわりに覚えています。もし何か思い出したことがあれば、このやわらかな紙に書き留めてください。
ここでは、すべてが覚えられています
暴雨郵便局
1996年・北の鉱山町